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-2026.2.27-
革命なき時代のプロウン
リシツキーの記事を読んで思ったこと
エル・リシツキー(1890–1941)は、ロシア前衛芸術を代表する芸術家・建築家・デザイナーであり、絵画・建築・グラフィックを横断した思想家でした。
特に印象的なのは、
絵画を「空間の実験」と捉え、建築を「社会を変える道具」と考え、芸術と生活を統合しようとした点です。
彼の代表概念が Proun(プロウン) です。

これは彼自身が「絵画から建築へ移行する途中の段階」と呼んだもの。
つまり、絵画でもなく建築でもない、その「あわい」にある表現でした。
幾何学的形態、浮遊する空間、重力の曖昧さ、そして視点の移動。
それは、空間を身体で感じるための試みだったのだと思います。
学生時代、設計演習で私が描いていたドローイングの作画方法は、このプロウンとどこかよく似ています。
当時、作画方法を模索するなかで、どこかでプロウンを目にし、無意識に参照していたのかもしれません。
今となってはうろ覚えで定かではありません。
しかし改めてプロウンを見ると、あの頃のドローイングを描いていた感覚がよみがえります。
そして、現在進めている設計のコンセプト表現やダイアグラム、模式図を、もう一度描いてみたくなりました。
リシツキーはこう考えていました。
「社会を変えるには、空間を変える必要がある」
そのために彼は展示空間を設計し、ポスターを制作し、建築を提案しました。
彼にとって芸術は装飾ではなく、世界の構造を変える実践だったのです。
それはロシア(旧ソ連)という激動の時代背景の中で生まれた思想ですが、いま読んでもなお、強い力を感じます。
では、いまの状況の中で、私がプロウンを描くとしたら、何が現れるのだろうか。
そう考えると、ますます描いてみたくなってきました。