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-2025.10.1-
「家のメンテナンスや改修をトータルに相談できるところがないんです!」
古民家の持ち主から聞いた言葉が印象に残っています。
その方は伝統建築である町家にお住まいで、維持管理をしながら暮らしてこられました。傷んだ箇所を見つけるたびに修繕を依頼されてきたそうですが、思うようにいかず、後悔が残っているとのことでした。
耐震診断調査の現場でよく目にするケースとして、例えば──
- 設備機器の入れ替えに合わせて仕上げを直しているだけ
- 部屋の壁を撤去するほどの工事をしているのに、耐震補強も断熱補強もしていない
- 屋根工事をしているのに、外壁の劣化改修を行っていない
これらはおそらく、発注者が希望した内容だけを施工した結果だと思われます。
しかし、設計者の立場から見ると「なぜ全体の改修方針を提案しなかったのか!」という疑問が残ります。
その場その場で個別に工事をするのは、非常にもったいないことです。工事の機会には「ついでに」できることがたくさんあります。わざわざバラバラに行うより、まとめて一石二鳥的に性能向上しつつ維持管理をしていく方が、家にとっても暮らしにとっても良いのです。
まずは、
- 耐震改修計画
- 暮らしの変化を見据えた将来の改装計画
- 断熱・気密(温熱環境)改善計画
こうした方針を立てておくことが大切です。そうすることで、部分的な改修の「ついで」に補強を進められ、コストを抑えながら性能を高めることができます。その結果、満足度の高い住環境が得られるのです。
実際にFORMAにご相談いただいたお施主さんの事例でも、最初に耐震・改修計画を策定し、維持管理をしながら4回に分けて段階的に改修を行ったケースがありました。
そのお話をすると、
「近所にはそうしたトータルに相談できるところがなくて困っている」
という声をよく聞きます。
FORMAでは耐震改修やリノベーションについてブログで情報発信を続けていますが、身近な地域にさえ十分伝わっていないことを痛感しました。
だからこそ声を大にして伝えたいのです。
家の改修は、トータルで考えること。完成形を作ったうえで部分の手当を行う
そして、二つ以上の性能向上・機能向上・居心地の向上を同時に進めることが大切だ、ということを。

建築士会で亀岡市の建築相談ボランティアを月一回やっているけれど
そこにわざわざ相談に行くほどではないというお声もあり所有者さんたちの認識と開催側の意識のずれを感じました。
もっと身近に町内の集会所で駆け込み寺的にやる方が良い氣がしており実験的にやろうと考えてます^^