いつか合気道の道場を設計したい
建築家のブログ

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-2012.6.26-

建築見学 カトリック桂教会聖堂

18歳当時の私は、毎日この教会を見ながら通学しており、HPシェル(双曲放物面)の屋根の美しさに惹かれいつか見学をと思い続け28年の月日が過ぎ今回やっと見学する事が出来ました。(飛び込みで・・・)

建築年は1965年、私の生まれる1年間に竣工しています。(後数年後で50周年です。)

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なんせ、28年間の思い入れがあるだけに気持ちは相当昂ぶっており、入室して直ぐ光のあまりの美しさにへたり込んでしまいました。

入室したのが4時前だったでしょうか、気が付くと5時前。かなり長い間ぼーっとしていたことになります。

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天井の曲線がアーチのようにも見え、祭壇側はすぼまって高くなっています。透視画法を強調したような形状なので空に向かうような飛翔感が感じられます。

また太陽の光が打ち放し壁の凹凸に影を生み出し、天井の曲面の一部には円弧状に光のグラデーションが出来、徐々に面積が広がっていきます。

この日は、時間が経つに従って刻々と光が移り変わり、空間が変容する様を感じるだけでおなかが一杯になってしましいました。

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この日は突然の訪問にも関わらず、教会の方が案内してくださり、教会の建築時のエピソードや修繕や保守の事、歴史について色々と教えて下さいました。

ここで、ジョージナカシマの事を・・・
ジョージ・ナカシマと言えば木工作家として世界的に有名ですが、建築家としての仕事がその原点になっているのは余り知られていません。

1934年から36年に欠けてレイモンド建築事務所で前川國男、吉村順三と机を並べていたということです。
その後、紆余曲折を経て、木工作家への道を目指す事になりました。

しかし、親交の深かった当時の桂教会担当神父の依頼で実現したものですが、桂教会とナカシマとのめくり会わせが、木工作家としてではなく、日系アメリカ人として、そしてカトリックの精神を理由するものとしての立場に帰属するものであり、彼が賞賛した、繊細な作品を残した日本の職人のように、また、13世紀のヨーロッパにおいて壮大な教会建築を築いた石工達のように、無名の一奉仕者としてこの仕事に取り組んだ彼の姿勢を示しています。

建築について多くを語っていないのはそのような理由もあったようです。(引用 http://catholic-katsura.life.coocan.jp/modanism.htm

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ですが、桂教会は建築家として自身の立ち位置を示す日本で唯一の建築でも有ります。
アノニマス、民芸運動・・・無名性の美を意識しますが、この建物は紛れもなくモダニズムの系譜上にあると思います。

ジョージナカシマがなぜアメリカに帰国し、建築家への道を歩まず、木工作家の道を選んだのか?ナカシマの考える建築家像というのが非常に気になってきました。

事務所から10分ほどの場所なのでまた訪れたいと思います。(もっとジョージナカシマの事を知ってから)