いつか合気道の道場を設計したい
建築家のブログ

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-2013.11.3-

外壁の仕上げについて

FORMAで良く使う壁仕上げの種類について説明したいと思います。

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サイディング
FORMAでは「タイル風、石調、何々風」と言われるサイディングは使う事はありません。

何々風サイディングというのは完成した時から年を経る毎にみすぼらしくなっていくように感じるからです。
使う場合は無塗装の大判(900×3000)パネルにシリコンやフッソ塗装を用います。

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もしくはラムダやメース、アスロック等のセメント素材の風合いが楽しめそうな素材は興味が有ります。

FORMAで選ぶ素材は年を経ても、味があると感じられたり、風合いが楽しめるものを基準として選ぶようにしています。

鋼板にはガルバリウム、銅板、チタン亜鉛合金等が有ります。
形状は角波、スパンドレル、大波、小波の工業製品と平板が有ります。防火規制がある地域や延焼のおそれのある部分には階数や規模に応じて求められる防火性能があるので下地と合わせて防火認定が取得されている工法を選択する事になります。
メンテナンスは窓周りのコーキングを10年毎に行う事になります。
製品は無塗装のものと、塗装されているものが有りますがメーカーや商品によって10年から20年の保証がついています。それらを目安に塗装を検討する事になります。

工業製品なのですが鋼板という素材の強さが感じられ、塗膜も強固で経年変化も比較的安定しているので「スミカ」「松ヶ崎の家」「NsHouse」「狭くて広い家」で使用しています。

 

塗り壁には土壁、モルタル、モルタル+塗装等が有ります。
モルタル系には昔ながらのモルタルに色粉を混ぜたもの、土とモルタル、藁スサを混ぜたもの、自然素材系の左官材料、樹脂系の左官材料、等々これも多くの種類が有ります。メンテナンスは汚れの除去を必要に応じてというところでしょうか。ひび割れ等の監視が必要です。

モルタル+塗装はモルタルで下地を作り、樹脂系の塗装材で化粧するというものです。塗装には、リシン(砂粒のような骨材が入っている)、吹きつけタイル、等のテクスチャー(模様)をつける事が出来ます。
塗膜が劣化するためメンテナンスは10年~20年に一度は塗り替えが必要なためあまり使用しません。

モルタルのみや自然素材系の左官材料(しっくい、そとん壁等)は実績も長く経年変化のイメージが分かっているので良く使う材料です。「UTSUWA」「本町の家」「音楽室のある家」「カエルイエ」ではそとん壁を使っています。
その場合も通気層を取るようにしています。壁内の湿気を外部に排出するだけでなく、防水層が二重になるので雨水等が内部に入らないような備えにもなります。
素材そのものに着色されているので、汚れがついたら除去する程度のメンテナンスでよいと思います。
汚れについては屋根の出や水を壁に垂れないようにする設計とすれば尚良いです。

タイル張り、レンガ張り、石張り。
乾式工法と湿式工法が有ります。乾式は素材を引っ掛ける金物を取り付け素材を取り付けていきます。湿式はモルタルで下地を作り素材を貼り付けていく工法です。
メンテナンス方法はひび割れ等の監視しながら汚れの除去が主になります。

 

石貼りも使う頻度は少ないですが好きな材料です。石の仕上げは磨き、バーナー、ビシャン、小タタキ、ノミきり、割り肌仕上げ、野面等が有り、風合いや表情は自然石ならではの多様な表情が有ります。
タイルと共に今後、機会があれば使って行きたい材料です。

木には縦張り、横張り、鎧張りが有り、樹種は杉、桧、レッドシーダー等も使われています。 こちらも防火規制がある場合は防火認定が取れている工法を選択すれば規制のある場合でも使える事が有ります。
塗装等で保護せず素地で使う場合は風化を考え厚みを厚くする等工夫が必要です。

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焼き杉と言って表面を炭化させて耐候性を持たせたものが有ります。
保護塗料を塗装する場合は2回から3回塗りとして、当初は2年後に追加塗装を行い以後様子を見ながら5~10年毎に塗装を行います。
屋根や深い庇で風雨から守られている場合は塗装期間が延びます。

木ならでは風合いや塗り重ねる事で得られる深みは独特で、見る人の目にもやさしく町並みを美しくしてくれます。また手を掛ける程、愛着もわきます。
FORMAではクライアントと相談しながらですが、足場が必要で無い部分に木を貼る、高所に使う場合は庇を十分に深くするなどの工夫をして使います。

 

外壁の選択時に優先する事としては、周辺の環境と馴染むもの、可能な限りその場所で手に入る自然な素材、又は素材の力強さが表出するものを選びます。

コストについては、工事時の価格だけでなく、長期のメンテナンス(ランニングコスト)を考えて高い安いを判断することが大切です。