住宅アーキテクト

中西義照のブログ

施主は孤独 1

広い事務スペースの大きなテーブルの一角でスケッチをしていると背後のスペースで顔見知りのGさん家族が揃って営業マンと話しているようだった。

 

声を掛けようかどうしようかと思案しつつ頭の中のイメージを書くことに熱中していると目の前にGさんが立っていた。

 

「てるさん。家を建てようと思うけど、コスト重視にしようと思う・・・安く建てられる業者に決めたので頼めませんねん。 ほんまは設計頼みたいけど・・・」

 

唐突な展開にどう反応してよいかとまごついている間に、私が設計をしている事を知っているGさんが頼めなかったことを報告してくれている事が理解出来ました。

 

もう気持ちが固まっているなら仕方ないといつもなら「はい。良い家建ててくださいね!」と言うのですが、この時はなぜか

「良い家建てて下さいね!でも何か困っている事あったら相談してくださいね」と言う言葉が出てきました。

 

Gさんとは何度か顔合わせした時にとても気になる存在で、発する言葉から建築好きでは?という期待のようなものを抱き思い返せば親近感を感じていたのかもしれません。

 

そんなGさんの建てる家が本当に良い家で合ってほしいし、困ったときには力になれる事があればという気持ちが働いたのかもしれない。

 

「いやー実は計画がしっくりこなくて悩んでますねん。」

 

「今日は未だここで仕事してるので良ければ計画見てみましょか?」

 

「え!いいんですか!!」

 

という事で図面を取りに戻るGさんの姿を眺めながら、あっ!大きなお世話やったかなと思いながら次の展開にワクワクするのでした。

 

 

施主は孤独2へ続く(予定)

 

前回の記事:施主は孤独 序章