住まい方アドバイザー 中西千恵のブログ

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-2023.12.29-

自分と居る

夫婦揃って体調を崩していた12月中旬ですが、この時期にこの休憩をさせてもらったことには意味があるのでしょうね。テルさんは合気道のお仲間にインサイトジャーニーしてたんですよね、と言われたそうですが、インサイトジャーニーになったかどうかはわかりませんが、感じることに意識を向ける時間になりました。

その間、12月19日はテルさんのお誕生日でしたが、残念ながら本人も私もお誕生日というお祝いをする感じではなく、やっと先日のクリスマスに我家はお祝いムードになりました。娘がクリスマス の誕生日ということもありますが、毎年本人のこの日への期待はなかなかのもの(クリスマスとお誕生日、二つの楽しみが12月25日に重ねてやってくる!)今年は大人になったのでしょうか、意外にサラッとしていました。18才、成人ですね。大人になったなぁと健やかな成長を穏やかにお祝いできる喜びを感じました。

さて、寝室にこもって寝ていると、視界に入るのは天井と壁、そして朝になると窓から空が見えます。真っ白の天井と壁は端から端まで真っ直ぐ通り、角の立った壁の縦ラインは床と天井をつないでいます。ピシッと四角い立方体に3つの窓がある個室です。

毎日毎日18年間眺めてきたものを、その日も変わらず眺めていました。南の窓下のパキラは大きく横にうねりながら光に向いて成長し、時々濃い緑の葉っぱに陽射しを受けてとても軽やかになるときがあります。

ふとベッドの隣にある鏡台の向きが気になりました。90度回転。時々小さな模様替えをしますが、それは、子どもの時にしていた模様替えとはちょっと違い、気分転換ではなく今の自分にしっくりくるように整える、そんな感じでしょうか。いつもですが、何度も微妙に位置を調整しながら場所を決めるのは、自分のしっくりを見つけたいからで、それが見つかるとやっと自分の居場所が整った気がします。人にはわからない、自分の感覚に由来する整った感です。

それ以外には、父方の祖母が使っていた茶箪笥に、家族の写真、知人から贈られた書、娘が留学する前に贈ってくれたカード、子どもたちの1999年と2005年のイアープレート、陶芸作家さんの画集、そして父の離れから持って帰ってきた一輪挿しにさしたサザンカ。そこには、生活するために必要なものは何もなく、誰かのためのものも何もなく、ただ自分の大事にしてきたもの、大事にしたいことをギュッとまとめた。そんなものが視界に入ります。

今、自分は自分とここに居るなぁ、そんな感覚でしょうか。

『家は自分といる居場所であれ』

物理的に見えるもの、見ることができるものを整えると、目には見えない居心地にも意識をむけることにつながります。そして、それは心地よい自分の内側への旅をした感覚になりました。長い休憩をさせていただきご迷惑をおかけしましたが、目に見えるものだけでないことを感じられること、それは、家づくりのサポートにおいても、家を考える方々にとってもとても大切な力になると思っています。

空を見る、風や光を感じる、肌で触れる、人だけでない動物や植物、生きとし生けるものを感じる、意識を広く高く、そして深く。気になっていた目の前のことはそれほど気にしなくていいことだった。そんな変化は生きやすさにつながるでしょうね。