住まい方アドバイザー 中西千恵のブログ

category

-2024.5.10-

五感を言葉に変える情報化

もう3年以上前の記事なのですが、養老孟司さんへのインタビュー記事です。響く言葉が多々あります。自然への考え方も然り、参勤交代制とか実現したら都市と田舎の人が入れ替われば、それぞれのことが分かり合えそうですね。

「今は世界が半分になっちゃった」養老孟司さんに聞く、もう半分の世界のこと。

記事の中の「情報化する」という意味について。以下、記事の抜粋です。


僕は「情報化」という言葉をちょっと違う意味で使っています。僕の言う「情報化」は、五感から入ってきたものを情報に変えて人に伝える、ということです。たとえば自分の目で見たものを、文章として表現することなんかそうですね。

昔、丸谷才一の『文章読本』で読んだことがあるんですが、井伏鱒二が、ちゃぶ台で雀が遊んでいる情景を2ページくらいに渡って書いていたんだそうです。でもいま、大人でそこまで書ける人っているでしょうか?

そういうふうに、感覚から入ってくるものを言葉に変える、現物から情報にする。それを僕は「情報化」と呼んでいるんですね。だから一次産業がなくなるのと、「情報化」がなくなるのは、ほとんど同じことなんです。


一次産業従事者が減って情報化社会になっていったことが自然離れにつながっているという時に使われる意味での情報化ではなく、自然界に対して直接働きかけて資源を採取する農業、林業、漁業などの一次産業や、人という自然物が自ら感じたもの(五感)を情報に変えて伝えるという意味での情報化ですね。

五感を情報(言葉)にするという情報化、いつも言葉にするのが苦手だなぁと感じつつ、こうして時々自分の感じることを文章にしています。感覚をどう表現したらいいのかにいつも頭を悩ましています。

自分の中にある使いこなせる表現言葉が少ないので、少ない中でもどんな言葉がしっくりくるかを、あーでもないこうでもないと四苦八苦しています。自分の感覚や思考を伝える表現にニュアンスの違いがあると、どうも気になって仕方がないので時間もかかります。

養老さんの言葉に、「だってどうせ情報処理はAIがやってくれるんだから。一番難しいのは、現物を情報化していくことなんです。」

都合よくこの言葉を理解すると、五感で得たものを言葉にすることに頭を悩ますのは無駄ではないということでしょうか。

すでに情報になったものをどう扱うかという情報処理はAIに任せておいて、五感で自然を感じて、養老さん曰く「情報化する」ことをあきらめてはいけないのでしょうね。言葉にすることの難しさを感じるつつも、伝えたい人を思いながら言葉を見つけることに時間を忘れます。