滋賀県大津市
outline
構造:木造2階建て /
敷地面積:330.63㎡ /
延べ面積:120.05㎡ /
家族構成:母 夫婦 子供1人 /
竣工:2022年3月
外皮平均熱貫流率(UA):0.4W/㎡K
冷房期の平均日射熱取得率(ηA):2.8
相当隙間面積(C値):0.7 c㎡/㎡
耐震等級:耐震等級 3
explain
■パッシブデザイン|比叡平の環境を読む
敷地は標高約400mに位置する住宅地で、東側道路に面した約100坪の敷地です。周辺も比較的大きな区画が多く、全体にゆったりとした印象があります。隣地建物との離隔距離も十分に確保されており、冬期の日射を取り込む条件に恵まれた土地でした。
設計にあたっては、冬至日における周囲建物の日影シミュレーションを行い、建物配置を検討しています。その結果、建物の東側に屋外空間となるデッキを設け、庭と内部が混じり合う「外部の居間」を計画しました。
この中間領域は、季節を問わず内部と外部をつなぎ、自然環境を暮らしの中に取り込む役割を担っています。
■100坪の敷地を「開く」外構計画
三世代での暮らし、職住一体という生活スタイル、そして来客の多さ。
この地へ移り住むにあたり、敷地を塀や境界で閉ざすのではなく周囲の環境に対して開くことが大切だと考えました。
比叡平は一区画が大きく植栽や周囲の風景が整った住宅地です。
人の動きや視線、空の近さ、風や日射を留めることなく敷地全体に抜けをつくり、土地が本来持っている心地よさをそのまま暮らしへとつなげています。
■拡張性|職住一体の暮らしを見据えて
建物東側の屋外空間(デッキ)は、内部と外部をつなぐ中間領域であると同時に、将来的なアトリエ増築を見据えた動線の一部としても構想しています。
当初から将来の姿を描きつつも作り込みすぎないこと。
変化に対応できる余白を建築の中にあらかじめ組み込むことで、暮らしや仕事の変化を受け止められる住まいとしています。
■庭と中間領域となる「外部の居間」
デッキは道路と建築の間に位置し、道路より約1m高い地盤に設けられています。歩行者からは少し見上げる関係となり、適度な距離感と落ち着きを生み出します。
手摺に囲まれ、屋根のかかったこの場所は、雨に濡れることなく過ごせる外部の居間です。
山上に位置する敷地では、夏でも穏やかな風が吹き、日除けさえすればエアコンに頼らず快適に過ごすことができます。
実際に、お母さまが日中この場所で読書をされている姿が見られ、設計時の意図を超えた住まいの風景が生まれています。
■ライフスタイルの変化に備える余白
職住一体、子育て世代、親との同居。
これから訪れるライフスタイルの変化に対して、建築と敷地の両方が柔軟に対応できる余白を確保しています。
現時点での暮らしを楽しむ工夫として、施主自ら地面置きのコンポストを制作されました。
また、外構工事で解体された擁壁の一部を再利用するなど、ブリコラージュ的な手法も暮らしの中に取り込まれています。
完成した瞬間をゴールとせず、住みながら手を加え更新されていく住まい。
この家は、暮らしそのものが設計の続きを担う器となっています。