京都府城陽市
冬場は南の大窓から太陽の熱を取り込み、夏場の日差しは庇で遮られます。1階は、玄関、和室、LDK、パントリー、洗面、浴室、2階はご夫婦それぞれの個室です。和室を寝室にすれば1階だけで暮らすことができるので、2階の寝室が使いづらいと思うことがあっても安心してワンフロアで暮らせます。
定年後はご主人がキッチンに立ってお茶の準備をされることが多くなったそうです。定年後の住まいは、家事の役割分担が変わったり、生活リズムや暮らし方が変わることも多いです。どんな暮らしを希望されているかをお聞きしながらプランができあがりました。
息子さん家族と一緒にみんなでテーブルを囲んで食事ができるように、エクステンションタイプのダイニングテーブルを購入されました。二人の時と大勢の時と、リビングとダイニングに仕切りがないのでその時々にあわせて使えます。
1階も2階も南側の大きな窓から太陽の恩恵をたくさん受けます。冬場、「そよ風」で基礎のコンクリート(床下)に蓄熱した暖かい空気は、1階各所→吹き抜け→2階→吹き抜けに面した各個室、暖かい空気が循環しています。
たたみ部分は4.5帖ですが、押入れとお仏壇を吊り式にすると布団を敷くときに板間を使えたり、4.5帖以上に広く使えます。引込障子を開け放つと、リビングや玄関ホールともつながったひとつの空間がとてもゆったりしています。二方向からアクセスできる使い勝手の良い和室です。
キッチンの通路を広げた分、ダイニングが少し狭まりましたが、お二人でキッチンに立つことも多くなり、広くとった通路がストレスなく動けてとてもよかったとおっしゃいます。お二人仲良くキッチンに立たれているのですね。
奥様の寝室は、造付け洋服収納と部屋の一番奥の壁側に置いた箪笥の間にゆったり通路をとり、ウォークインクローゼットのように使えます。洋服や鞄、小物がまとめてあると、身支度もコーディネートもしやすいです。ご夫婦それぞれの居場所があって、それぞれの過ごし方ができるというのも定年後の住まいで大事なことだと思います。
庭の植栽は以前のお住いの庭から紫陽花、金木犀など何本かの木を移植して、あらたに植えた草木と自然につながりました。春夏秋冬の自然の移り変わりを庭の草木で感じることができます。眺める楽しみ、手入れする楽しみ、飾る楽しみ、緑があると楽しみがひろがります。
東西に長く南西道路の角地というとても恵まれた条件ならではの、どの部屋もすべて南に面したとても明るい住まいです。Tさんご夫婦の暮らし方をお聞きしたとき、自然エネルギーを取り入れたり遮ったり、とても上手に暮らされていました。お二人の暮らし方と家の創り方が同じ方を向いた、とても気持ちのよい家です。
outline
構造:木造2階建て /
敷地面積:167 ㎡ /
延べ面積:123 ㎡ /
家族構成:夫婦 /
竣工:2017年5月
外皮平均熱貫流率(UA):0.55W/m²K
冷房期の平均日射熱取得率(ηA):2.5
相当隙間面積(C値):1.89W/m²K
explain
テイネンゴノイエ#03の特徴は、パッシブデザインの考え方をベースとしたソーラーシステムを取り付け、家全体の温度差が少なくなるように計画したことです。具体的には、空気集熱式ソーラーシステム、環境創機の「そよ風2」を使いました。
※そよ風を使ったTさんの暮らし
冬の使い方としては、日中はそよ風と太陽の直射日光(ダイレクトゲイン)が部屋を暖めてくれます。日が落ちると徐々に室温が下がりますが、蓄熱された床下からの放熱で夜も暖かく、一番気温が下がる朝に2時間ほどエアコンを運転し、快適温度に到達したら翌朝までエアコンなしでOKだそうです。 体感温度は人それぞれ個人差がありますが、壁、天井、床の表面温度も室温に近い温度です。
そして、冬場の暖かさはもちろん、夏場も外気が38℃近くになった時でも室温は30℃以上(エアコン使用無し)にはならないデータがでました。夏も冬も体への負担が少ないのはとてもうれしいことです。
予想以上に満足していると、住まい手のTさんはおっしゃいます。ご主人は定年後から家事を始められたり、お互いを尊重しながら、お二人の暮らしを楽しまれています。「夫婦二人のための家を建てられてよかった」とおっしゃるTさんご夫婦です。
定年後の家と子育て世代の家では、大事に考えることも変わります。永く安心して暮らせることは同じですが、ご夫婦二人の暮らしやすさをより大切に考えています。