兵庫県川西市

outline
構造:木造2階建て /
敷地面積:143.86㎡ /
延べ面積:93.56㎡ /
家族構成:夫婦 犬1匹 /
竣工:2024年3月
外皮平均熱貫流率(UA):0.36W/㎡K
冷房期の平均日射熱取得率(ηA):1.6
相当隙間面積(C値):0.3
耐震等級:等級3 (耐震等級1で想定される地震力の1.5倍の力に耐えられ数百年に一度発生するような大規模地震でも、軽微な修繕で住み続けられるレベルの耐震性を持つとされています)
explain
■パッシブデザイン
敷地の特徴:東道路、南隣接地は西側住宅の専用通路で更に通路の南隣地建物は平屋で近年建て替えられており、採光上は非常に有利な敷地です。冬至日における周囲の建物の日影シミュレーションでは建物を北側に寄せた東西に長い建物とし、南面開口部から日射取得するのがエネルギー効率が良い結果となります。この場合、採光が均一になりどの部屋にいても同じ環境が得られます。しかし、日射取得だけではない自然光の経時変化を空間に取り入れるには居場所の変化が鍵となります。また、前面道路の電柱問題もあり、北側に駐車場、東南側に庭を配置し、周囲は適材適所に植栽を施す方針とし、南面の大きな吹抜から内部に日射取得できる平面断面計画としました。 夏至日は各階の庇を出すことにより冷房負荷となる日射を遮蔽しています。
■住宅地に家を建てる事:コートハウスの塀、窓を設計する
周囲は住宅街で隣家が近接していますが、後退距離1mが必要なため離隔距離が保たれています。しかし、北側隣地建物は南に開口部を大きくとり、西側隣地建物は3階に大きな窓が存在しこちらを見下ろす形となる為に配慮が必要でした。南側隣接地は西側住宅の専用通路で、車両、人の往来があります。東道路は4m以下道路の生活道路であり人や車両の往来があります。
住まい手から視線が気になることをお聞きしていたこともあり、周囲の視線を気にせず暮らせるコートハウスのような塀をつくる計画に、道路から敷地地盤面が60cm程度高くなっていることが視線の切り方に有利に働いています。住宅地において、周囲からの視線を気にすることなく景色を楽しめる安心感は居心地のよさにつながると思います。
■風景:居心地の良い場所となるように
環境を活かす為の平面、外構計画、窓の設計、形態、素材の選択をしていくことで外と内が一体となる建築空間を目指しています。時間の経過とともに庭の緑による2階窓からの景色がつくられていく予定です。一方向だけでなく斜めや上下の視線の抜けを意識的に、且つ普遍的でシンプルな居心地のあり方を考えています。
■多様な居場所
建物内に多様な居場所があることで、日の出から日没にかけての光の繊細な移ろいを感じ取ることができます。暮らしの中で過ごす居場所をLDKや寝室だけにとどまらず少し広げて考えています。玄関や階段も使い方の可能性を考えてみることで家全体を活用することにつながります。
■庭と中間領域となる土間玄関
庭との程よい距離感、内と外がつながる場、中間領域となる土間玄関は、1日2回の散歩が必須の犬との暮らしに欠かせない場として使われています。室内から玄関を通して緑が見え季節の変化や時間のうつろいを感じ、暮らしに潤いをもたらしてくれます。
■ライフスタイルや家族構成の変化に対する備え
階段上のコーナーは読書の場となり、2階ホールに位置するレザークラフトのスペースは趣味に没頭する場です。あえて個室にすることなく吹き抜けとつながりを持たせています。部屋の機能を固定しない流動的な空間とスペースの割り当てが、今後の変化への備えとなっています。1階だけで暮らす可能性、2階に個室をつくる可能性を持たせています。
■仕上げ
屋根:ガルバリウム鋼板葺
破風、鼻隠し:ガルバリウム鋼板巻
外壁:ガルバリウム角波板張/そとん壁
軒裏:フレキシブルボード/レッドシダー貼
笠木:ガルバリウム鋼板加工
木製塀:杉板 キシラデコール塗装二回塗
土間:磁器タイル大判張